俳句の秋の季語!カッコいいやつをチョイス!代表的な俳句も!

公開日: : 最終更新日:2018/10/15



五・七・五。この数字を見て俳句を連想しない日本人はそれほど多くないと思います。俳句はもっとも身近な道具「言葉」さえあれば作れる庶民的なものであると同時に、とても深みのある芸術でもあります。

無季の俳句というのもありますが基本的には季語を入れるのがルールです。その季語が活きる俳句にすることが大事。

今回は秋の季語を探してみました。季語は数あれど定番のものから聞き慣れないものもあります。今回は両方を取り上げました。

さあ、俳句による『秋』の世界へあなたをご招待しましょう。

秋の季語あれこれ

俳句は17文字の中に「季語」を入れるのがルールです。俳句において季節とはとても尊いものです。古くは『万葉集』の時代から季節が意識されていました。それが「季語」として成立したのは平安時代の後期と言われています。

現代では5,000以上の季語があり、季節ごとにそれぞれ7つに分類されています。秋の季語は、同時に夏の終わりと冬の予感を示しています。

まずは代表的なもの。

時候

  • 秋(あき)
    9月から11月 二十四節気では立秋から立冬まで 天文学上では秋分から冬至まで。
  • 初秋(しょ しゅう or はつあき)
  • 秋のはじめ頃。

  • 八月(はちがつ-ぐわつ)
  • 一年の第八番目の月。葉月はづき。

  • 文月(ふみづき or ふづき )
  • 陰暦七月の異名。

  • 立秋(りっしゅう-しう)
  • 太陽暦で8月8日ごろ。この日以後の暑さを残暑という。七月節気。「秋立つ」ともいう。《 -の雲の動きのなつかしき /虚子 》

  • 残暑(ざん しょ)
  • 立秋の後まで残る暑さ。

  • 秋め(あきめく)く
  • 秋らしくなる。

  • 九月(くがつ-ぐわつ)
  • 一年の第九番目の月。

  • 葉月(はづき)
  • 陰暦八月の異名。

  • 白露(しらつゆ – はくろ)
  • 光って白く見える露。

  • 秋分(しゅうぶん しう- )
  • 秋の彼岸の中日。太陽は天の赤道上にあり、ほぼ真東から昇ってほぼ真西に沈む。昼夜はほぼ同時間。

  • 秋彼岸(あきひがん)
  • 秋の彼岸。後のちの彼岸。

  • 晩秋(ばんしゅう-しう)
  • 秋の終わり頃。暮秋。

  • 十月(じゅうがつ – じふぐわつ)
  • 1年の第10番目の月。

  • 長月(ながつき)
  • 陰暦九月の異称。菊月。

  • 夜長(よなが )
  • 夜が長いこと。秋が深まるにつれて夜が長く感じられること。

  • 寒露(かんろ)
  • 露が冷たく感じられる時季。

  • 律の調べ(りつのしらべ)
  • 秋の感じを律の調べといったもの

  • 雀蛤となる(すずめはまぐりとなる)
  • 七十二候の一つ。寒露の節の第二候

  • 秋深し(あきふかし)
  • 晩秋、秋の気配が濃く趣が深まったさまをいう語。
    《秋深き隣は何をする人ぞ /芭蕉》

  • 冬隣(ふゆどなり、あきとなり)
  • 冬がすぐそこまで来たことを感じさせるような晩秋のたたずまい。秋も終わりに近く、すぐそこに冬のきびしさ、くらさの迫っていること

天文

  • 秋色(しゅう しょくしう-)
  • 秋のけしき。秋のけはい。

  • 秋晴(あきばれ)
  • 秋の空がすがすがしく晴れあがっていること。秋日和びより。
    《 -やいただき尖る八ヶ岳 /大橋越央子 》

  • 天高し
  • 秋は空気が澄み、晴れ渡った空は高く感じられる。
    《 -雲行くまゝに我も行く /虚子 》

  • 鰯雲(いわしぐも)
  • 小斑点状に群がり広がった雲。多く、巻積雲のこと。うろこ雲。さば雲。
    《 -日和いよ〱定まりぬ /虚子 》

  • 鯖雲(さばぐも )
  • 巻積雲の通称。うろこ雲。

  • 待宵(まつ よい-よひ)
  • 〔翌日の十五夜を待つ意から〕 陰暦8月14日の夜。
    《 -や女あるじに女客 /蕪村 》
    訪ねて来るはずの恋人を待っている宵。
    「 -更けし秋風の声/俊成女集」

  • 天の川(あま の がわ-がは)
  • 銀河系内の無数の恒星が天球の大円に沿って帯状に見えるのを川に見立てたもの。七月七日の七夕の夜、牽牛けんぎゆうと織女がこの川を渡って年に一度会うという。ミルキー-ウエー。
    《 荒海や佐渡に横たふ- /芭蕉 》

  • 初嵐(はつ あらし)
  • 秋の初めに吹く強い風。
    《 萩叢の一ゆれしたり- /大橋越央子 》

  • 秋時雨(あき しぐれ)
  • 秋の末に降るしぐれ。

  • 富士の初雪(ふじのはつゆき)
  • 富士山頂で見られる初雪

  • 稲妻(いな ずま-づま)
  • 〔「稲の夫つま」の意。古代、稲は稲妻をうけて結実すると信じられたことから〕 雷雲の間、あるいは雷雲と地面との間に起こる放電現象によりひらめく火花。稲光。稲魂いなたま。稲交接いなつるび。
    《 -やきのふは東けふは西 /其角 》

  • 霧(きり)
  • 地表や水面の近くで水蒸気が凝結して無数の微小な水滴となり、浮遊している現象。発生場所によって海霧・山霧・盆地霧・川霧などに、また生因によって放射霧・移流霧・蒸気霧・前線霧などに分けられる。

  • 露(つゆ)
  • 地表や水面の近くで水蒸気が凝結して無数の微小な水滴となり、浮遊している現象。発生場所によって海霧・山霧・盆地霧・川霧などに、また生因によって放射霧・移流霧・蒸気霧・前線霧などに分けられる。

地理

  • 山粧う(山粧よそおう)
  • 俳句で、紅葉で美しく彩られた山の形容。
    《 搾乳の朝な夕なを- /波多野爽波 》

  • 野山の錦(のやまのにしき)
  • 野山の草木が美しく紅葉したさまを錦に見たてていう語。
    《 九重を中に-かな /蓼太 》

  • 花園(かえんくわゑん、はなぞの)
  • 花の咲く草木のたくさんある庭園。

  • 花畑(はなばたけ)
  • 草花を栽培している畑。また、草花の多く咲いている所。

  • 水澄む(みずすむ、みづすむ)
  • 川や湖などの水がことさら清らかに感じられる。
    《 -やとんぼうの影ゆくばかり /星野立子 》

  • 不知火(しらぬ い-ひ)
  • 夜間の海上に多くの光が点在し、ゆらめいて見える現象。九州の八代やつしろ海・有明海で見られるものが有名。干潟の冷えた水面と大気との間にできる温度差によって、遠くの少数の漁火いさりびが無数の影像を作る、異常屈折現象とする説が有力。

生活

  • 菊枕(きく まくら)
  • 菊の花びらを入れて作った枕。香りがよく、頭痛などに効能があるという。

  • 燈篭(とう ろう)
  • 盆供養のためにともして精霊(しようりよう)に供える灯火。盆灯籠。

  • 障子洗う(しょうじあらう)
  • 仲秋の季語。夏の間はずして物置などにしまっておいた障子の紙を新しいものに貼りかえるために、障子に水をかけて紙をはがすこと。

  • 障子貼る(しょうじはる)
  • 冬を迎える準備として、新しい紙で障子を張り替える。
    《 -大原女あり尼の寺 /虚子 》

  • 冬支度(ふゆ じたく)
  • 衣類や室内調度を調えて冬を迎える準備をすること。

  • 田守(た もり)
  • 稲田の番をすること。また、その番人。

  • 稲刈(いね かり)
  • 秋、実った稲を刈り取ること。

  • 虫籠(むし かご)
  • スズムシ・マツムシなどの虫を入れて飼う籠。また、虫取りの際に虫を入れる籠。

  • 運動会(うん どうかい-くわい)
  • 大勢で集まって、競走や遊戯をする催し。学校の行事となったのは明治30年代で、それまでは遠足の意味でも使われた。

行事

  • 七夕(たな ばた)
  • 五節句の一。七月七日に行う牽牛星と織女星を祭る行事。庭に竹を立て、五色の短冊に歌や字を書いて枝葉に飾り、裁縫や字の上達などを祈る。

  • 盆(ぼに)
  • 盆ぼん。また、その時の供物くもつ。
    「十五六日になりぬれば-などするほどになりにけり/蜻蛉 上」

  • 解夏(げ げ)
  • 陰暦7月15日に夏安居げあんごを解くこと。夏明げあき。

  • 秋場所(あき ばしょ)
  • 九月に行われる大相撲の本場所。九月場所。

動物

  • 鈴虫(すず むし)
  • コオロギ科の昆虫。体長17ミリメートル 内外。黒褐色で扁平。触角の基半部、肢の基部は白色をおびる。触角は細長い。草むらにすみ、雄は前ばねを立てリーンリーンと鳴く。秋に鳴く虫として古くから飼われる。

  • 蜩(かな かな)
  • 蜩ひぐらしの別名。かなかなぜみ。
    《 -に後れ勝なる仕事かな /虚子 》

  • 雁(かり)
  • 〔鳴き声からという〕 ガンの異名。
    《 一行の-や端山に月を印す /蕪村 》

  • 飛蝗(ばった)
  • バッタ目バッタ科の昆虫の総称。触角は短く、はねは退化したものからよく発達したものまで変化に富む。後肢は長く発達して跳躍に適している。雌は土中に穴を掘って産卵し、多くは卵の状態で越冬する。変態は不完全。草本、特にイネ科植物を好み、トノサマバッタのように大発生し、飛蝗ひこうとなって農林作物に大被害を与えるものもある。イナゴ・トノサマバッタ・ショウリョウバッタ・オンブバッタなど。
    《 街道をきち〱と飛ぶ-かな /村上鬼城 》

  • 猪(しし)
  • イノシシ科の哺乳類。体長1.5メートル 前後。ブタの原種。ブタに似るが、犬歯が下顎あごから上方へ突き出る。体毛は硬く暗褐色。山林原野にすみ、夜行性で雑食。肉は山鯨やまくじら・ぼたんと称して食用とする。しし。い。
    《 -を荷ひ行く野や花薄 /白雄 》

  • 鹿(しか、かせぎ、かのしし、しし、ろく)
  • 偶蹄目シカ科の哺乳類の総称。体重10キログラム 以下から800キログラムまで、多くの種類がみられる。細長い四肢をもつ優美な外形で、枝分かれした大きな角が特徴的。灰色・褐色など体色の変異は大きい。特にニホンジカを指す。

  • 啄木鳥(き つつき)
  • キツツキ目キツツキ科の鳥のうち、アリスイ類以外のものの総称。指は前向きに二本、後ろ向きに二本で、鋭い爪がある。足と尾羽を用いて木の幹に縦にとまり、強いくちばしで幹に穴をあけ、中の虫を長い舌で引き出して食べる。日本にはアカゲラ・ヤマゲラ・クマゲラなど10種がいる。ケラ。ケラツツキ。啄木たくぼく。
    《 -や落葉をいそぐ牧の木々 /水原秋桜子 》

植物

  • 紅葉(こう よう-えふ )
  • 秋、落葉に先だって葉が紅色に変わる現象。

  • 紅葉(もみじ、もみぢ )
  • 〔古くは「もみち」〕 秋の終わりごろ、木の葉が赤や黄などに変わること。また、色づいた葉。「山々が美しく-する」

  • 落葉(らく よう-えふ)
  • 植物の葉が落ちること。多くは一種の生理現象で、落葉樹では寒期や乾燥期などの不利な環境に対する適応である。

  • 彼岸花(ひ がんばな)
  • ヒガンバナ科の多年草。田の縁ふちや川岸に群生。秋の彼岸の頃、高さ約30~50センチメートルの花茎の頂に赤色の花を一〇個内外つける。花被片は六個で強くそり返り、雄しべは長く目立つ。

  • 桔梗(き きょう-きやう)
  • キキョウ科の多年草。山野に自生する。秋の七草の一。茎は高さ約80センチメートル。葉は卵形。夏から秋、径5センチメートルほどの青紫色で鐘形の花を茎頂に数個つける

  • 萩(はぎ)
  • マメ科ハギ属の植物の総称。落葉低木または半草本で、山野の日当たりの良い乾燥地に多い。葉は互生し、三小葉から成る複葉。夏から秋にかけ、紅紫色、ときに白色の蝶形花を総状につける。ヤマハギ・ノハギ・ミヤギノハギ・マルバハギ・キハギなど。秋の七草の一。
    《 低く垂れその上に垂れ-の花 /高野素十 》

  • コスモス(コスモス)
  • キク科の一年草。メキシコ原産。茎は高さ約1.5メートル。葉は羽状に細裂して裂片は線形となる。秋,細い枝頂に淡紅色・白色などの頭花をつける。オオハルシャギク。秋桜。《 -の花咲きしなひ立もどり /虚子 》

  • 金木犀(きん もくせい)
  • モクセイ科の常緑小高木。庭木として栽植される。葉は長楕円形ないし披針形で革質。雌雄異株。10月頃、葉腋ようえきに芳香のある橙黄色の小花を密に束生する。

  • 菊(きく)
  • キク科の多年草。葉は卵形で波状に切れ込み、鋸歯がある。頭花は大小様々で小菊・中菊・大菊の別があり、一重また八重。色は白・黄・赤など多様。主に秋に咲く。古く中国から渡来したとされ、観賞に供されてきた。
    《 -の香や奈良には古き仏たち /芭蕉 》

  • 芋(いも)
  • 植物の根や地下茎が養分を蓄えて肥大したもの。食用となるサトイモ・ジャガイモ・ヤマノイモ・サツマイモなどをさす。園芸用の球根をいうこともある。《 ぐい〲と引抜く-の出来のよし /松本長 》

  • 撫子(なでしこ)
  • ナデシコ科の多年草。山野、特に河原に多く自生。茎は高さ30~50センチメートル、葉は広線形。夏から秋にかけ、茎の上部が分枝して径3センチメートルほどの淡紅色の花をつける。花弁は縁が細裂する。秋の七草の一。

あれ?これは夏の言葉じゃないの?と思うようなものが入っていますよね。これは、季語が新暦の月日ではなく太陽の運行によって決まるため。「秋」は立秋から立冬の手前までのことをいうのです。

立秋は今でいう8月7日から111日ごろなので、感覚的に夏のような言葉が混ざっているのですね。

また、月は1年中空にあるのに秋の季語になっています。これは、日本人の伝統的な美意識による約束事がそうさせます。「秋は月が美しい」という感覚から、「月」という言葉は秋を連想させるものになったのです。

チョッと難しいけど知ってればかっこいい秋の季語

季語はあまりにも多いので秋から始まるものだけに絞り込みました。

  • 秋袷
  • 読み方:アキアワセ(akiawase)
    秋冷を肌に感ずるころ取り出して着る袷のこと

  • 秋あわれ
  • 読み方:アキアワレ(akiaware)
    秋のころ、心に感じ思うこと

  • 秋没日
  • 読み方:アキイリヒ(akiirihi)
    美しくはなやかで、見る人の顔を赤く染めるいり日

  • 秋惜む
  • 読み方:アキオシム(akioshimu)
    爽快な秋の季節の過ぎ去るを惜しむ気持ち

  • 秋女
  • 読み方:アキオンナ(akionna)
    稲刈に雇い入れる者

  • 秋狂言
  • 読み方:アキキョウゲン(akikyougen)
    一年間の興行のくぎりとして九月に行なう歌舞伎芝居

  • 秋寂び
  • 読み方:アキサビ(akisabi)
    秋深まり、万物枯れそめてゆくのを、わびしいとながめやったときの感じ

  • 秋去姫
  • 読み方:アキサリヒメ(akisarihime)
    棚機姫の異名

  • 秋立つ
  • 読み方:アキタツ(akitatsu)
    秋の季節になり、秋が来ること

  • 秋の嵐
  • 読み方:アキノアラシ(akinoarashi)
    ふつうの秋風より強く吹く秋季の風

  • 秋の庵
  • 読み方:アキノイオリ(akinoiori)
    静寂な秋季の心懐と自然につつまれた旅宿や、わが棲家のこと

  • 秋の海
  • 読み方:アキノウミ(akinoumi)
    高い秋空の下にひろがる、さわやかに澄んだ感じのする海

  • 秋の終(り)
  • 読み方:アキノオワリ(akinoowari)
    秋の暮れゆくのを惜しむ心をこめた季語

  • 秋の限
  • 読み方:アキノカギリ(akinokagiri)
    秋の過ぎ去ろうとすること。それを惜しむ気持ちもこめられる

  • 秋の江
  • 読み方:アキノコウ(akinokou)
    川の、水の清く澄んで流れるさま

  • 秋の虹
  • 読み方:アキノニジ(akinoniji)
    秋空に立つ色も淡くはかなく消えていく、哀愁が深い虹

  • 秋の光
  • 読み方:アキノヒカリ(akinohikari)
    秋の景色、秋の気分、秋の気配

  • 秋の夕日
  • 読み方:アキノユウヒ(akinoyuuhi)
    あわただしく暮れる夕日

  • 秋の夢
  • 読み方:アキノユメ(akinoyume)
    秋の心・秋のもおむき

  • 秋の落日
  • 読み方:アキノラクジツ(akinorakujitsu)
    秋の落日があたかも深井戸に釣瓶が落ちていくようなさま

  • 秋振舞
  • 読み方:アキブルマイ(akiburumai)
    収穫の終った後の祝いの飲食をいう

  • 秋夕焼
  • 読み方:アキユウヤケ(akiyuuyake)
    秋にみられる夕焼

季語を決めている人

季語は歳時記にカタログの形でまとめられています。ではこの歳時記の作者が季語を決めた人なのかと言われると、そうではありません。

正直に言うと、季語は誰が決めているのかと問われるとそれは答えるのが難しいのです。

何故なら季語は、「誰も決めていないし、誰もが決めている」からです。

「ん?何を言ってるんだ?」と思いますよね…。

では、季語のルーツから辿っていきましょう!

季語のルーツ

平安時代後期、歌人として高名な源俊頼は、月を秋の季語として定めました。

その後、鎌倉時代から明治時代にかけて連歌→俳諧→俳句と発展していくにつれ、季語はより多くなっていきました。

今も季語は増え続けています

実はクーラーやヒーターなど現代的なものも季語とすることは可能なのです。俳句を作る機会があったら、是非使ってみてください。

秋の代表的な俳句と俳人

『秋深き隣は何をする人ぞ』 松尾芭蕉

「秋深し」は時候の季語。江戸時代の俳人、松尾芭蕉が晩年に詠んだ句です。「秋も深まってきて物寂しい季節になった(自身の生涯にもなぞっているのかもしれません)。

隣の部屋はやけに静かだけど、いったい何をしているのだろう」という解釈が一般的です。人が隣にいても壁を隔てて孤独になる心と、それでも他人とのふれあいを求めようとする心が表現されているのでしょうか。この心情も、今となっては想像することしかできませんね。

『鶏頭の十四五本もありぬべし』 正岡子規

「鶏頭」はニワトリのとさかに似たカラフルな花を咲かせます。明治時代の俳人、正岡子規は病床からこの句を詠んだといいます。

この句は「鶏頭の花が14、5本くらい咲いた」という写生の解釈もできますが、「実際にはここからでは鶏頭の花が見られないけど、きっと今年も14、5本の花が咲いているのだろうな」という想像の句ともとらえられます。

どちらかによって、ずいぶんイメージも変わってきますね

『鰯雲はなやぐ月のあたりかな』 高野素十

「鰯雲」は澄んだ秋の空に、鰯が群れて泳いでいるかのように浮き出す雲のことです。高野素十は主に昭和初期に活躍した俳人です。医師でもあった彼の句は、客観的な写生に優れていることで知られています。

鱗雲が明るい秋の月によって輪郭を現す様子が目に浮かびますね。そこに実際の景色がなくても、鮮やかに脳裏に映し出す言葉の芸術です。

俳句を詠んでみよう

俳句というのはとても少ない文字に情景、心情、哲学、さまざまなものを表現します。松尾芭蕉のように主観を強く出すのもひとつ、高野素十のように客観的な風景を描くのもひとつです。

これが正解というものはないので、自分なりの17文字を自由に表現してみてください。

ここでは、五・七・五と季語のほかに、ちょっとした注意事項を紹介します。

  • 小文字の扱い
    小さな「っ」は1文字、「ゃ」「ゅ」「ょ」は前の文字と合わせて1文字になります。つまり「立秋(りっしゅう)」は4文字とカウントされます。
  • 切れ字
    文章を区切るための言葉です。簡単にいうと「。」の役割をします。

・「かな」「けり」:句の最後に「。」が打てます。
『街道をキチキチととぶばったかな』 村上鬼城

・「や」:句の途中に「。」が打てます。
『朝立や馬のかしらの天の川』 内藤鳴雷

どんな内容のものにしたいかを決めたら、言葉を選ぶのが俳句の楽しみです。たとえば、「コスモスが揺れる」と表現したいのか「コスモスが風と戯れる」と表現したいのか、ということです。

あなたがどのような表現をするのか、それが俳句の個性になります。


俳句というとお堅いイメージがありますが、絵画や音楽が時代に合わせて変わるように、俳句もまた時代とともに動いています

平安時代からの伝統である季語に「運動会」があるなんてびっくりしませんでしたか?それくらい俳句は身近なところに題材を求めているのです。

古語を使った俳句も趣がありますが、まずは難しい言葉なんて隅に寄せて、楽な気持ちで一句、あなたの言葉で詠んでみてください。

 

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